『幸せを運ぶ男たち』観劇
アナログスイッチ 20th situation
『幸せを運ぶ男たち』
3/15 (金) 夜を観劇
きんにくラジャー回
おもしろくて
お話がとてもとても好きで
作・演出 佐藤慎哉ー!
となった。
アナスイ公演で一番好きなお話かもしれない。
あらすじ
(引用元はこちら)
2度目の再演
言い換えると3度目の公演。
(なぜ言い換えた)
アナログスイッチとの出会いは
2019年6月。
秋本さんが出演していた外部公演『ハッピーマーケット!!』で初めて見た秋本さんのことが爆裂に気になり
『ナイゲン』など、秋本さんの舞台を見に行く中で
2020年10月
『みんなの捨てる家。』で初めてアナログスイッチ劇団公演を観た。
たくさん笑ってあたたかくて
今もなお、好きな劇団になった。
アナスイを知ったのは劇団の歴史からするとわりと最近と言える。
再演というと
古(いにしえ)から行っていた他の団体で再演も多くあったのだけど
一度見た作品を別キャスト&若干の演出変更で見た時に
「前に見たのが好きだった」
と思う事が重なって。
再演は俺にはあんまり合わないかなと思っていたけれど
「捨てる家。」や「のぶやぼ」
そして今回も。
アナスイでは自分が再演を"初めて見るお客さん"側になっていて
なんというか
ありがとう、再演!
となっている。
ここからネタバレ感想を書きます。
このブログはTikTokの1分引き伸ばし動画ばりに「長いとなんか広告収入でも入んのか?」と思うほど感想に行くまでが長いのだが、今回も長くなってしまった。反省反省。
さてここまで読んでいただいてありがとうございました!
さようなら!!
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アナログスイッチの舞台において
忠津勇樹の登場で1つ勢いが増す。
忠津勇樹の登場で1つ勢いが増す。
今回もそれは変わらなかった。
この男こそ、アナログスイッチのスイッチである。
終演後、このキモ文(きもぶん)が頭に流れ込んできた。
素直に褒めたくないキャラクター性もあって、忠津勇樹に対して"おいしい良い役だな"という感想を持つことも多い。
ただこの役ができるのは間違いなく忠津勇樹であり、おいしい良い役にしているのが忠津勇樹であり、良い役をもらうのは運ではなく完全に彼の実力でしかない。
すごい。
この役者、だいすきだぜ!
と毎度思うのであった。
一旦頭に浮かんでいたこのキモ文をおろさないと次に進めなかったので、いきなり忠津さんを褒め称えたが、
役の話の前に大枠の感想を。
松島さんがボタンのことだけ見えないとなったシーンからこの物語は動き出す。
我々も「ボタンは座敷童ではない」と悟る瞬間。
ボタンが本当は幽霊か何かで座敷童ではない事であれやこれやあるお話。と。この舞台の大枠が見えた。
最後に押し入れに向かって坂下が除霊しているとき、
「あー確かに最初に坂下が入ってきて除霊している時にボタン咳き込んでたね」
と思って。
最初のその時は「(座敷童みんなに)なんか効いてね?」と思っていたのだがこの瞬間まですっかり忘れていた。
あんなに明確にボタンだけ咳き込んでたのにすっかり忘れて物語を見れていたなんて
なんかいい。
走り回って1人捕まってダメージ受けてたから除霊の効果なのかビリビリーってなってた余韻かがちょうどわかりにくいようになっていたのかもしれない。
5人必要なところに1人足りないどころかマイナス分が含まれていたらそれは、幸せを運ぶのは簡単ではないよねと。
今の唐沢の状況にも納得だと。
自分たちの仕事の仕方が悪いのかという意味合いでは、そうではなかったという安心感もほんとうに少しだけあったかもしれない。
もういろいろとわかった後は、
最後はボタンも戻ってきていい感じのハッピーエンド頼んますっ(お祈り)
というお気持ちだったけど
しっかり脱線することなく列車が終着駅にたどり着いて、
"やったぁー!よかったねーみんなぁ!"
となってとってもよかった。
これこそ良い。
気を衒ってなんか変なことしなくていい。
作る側は想定に収まるのが怖いのかわかりませんけれどもなんか変な事してそういうの募集してないんですよ〜状態になることがあるけれども
レール自体は想定通りでもこうして素晴らしい作品はできるのだから
ユリが真実を伝えたあと
座敷童のみんなも元々何かおかしいとわかっていた中で
それを認めたくない気持ちと
そうだとしても
4人でフォローしながら仕事をやり遂げればいい。
なんとか今のチームのままいたい。
そのために"唐沢を人並みに幸せにしなければ"と、これまで1人分以上の働きでがんばってきた彼らの気持ちがよく伝わってきた。
雰囲気をよくしようと張り切ってズレるユキノシタ。
ちゃんとしてこそだ、とまともな事を言ってくれるハギ。
うまくバランスをとるアケビ&リリー。
実力は足りないが頑張り屋のボタン。
ボタンを育てるにあたって、ハギの存在はもちろん。
「いい構成の5人を派遣したね、座敷童協会。」となった。
ボタンがいなくなってから
唐沢が口にした
「みんな僕のことを不幸不幸言うけど、僕は幸せだよ」
みたいな言葉を
ボタンに聞かせてあげたかった。
その想いで
その場にいた人たちみんなであの言葉を噛み締めた感じがあった。
自分はわりと唐沢タイプなので人生においていろいろあろうと幸せだと思う側の人間(2024.3時点)ではあるし
久々に自撮りとかあげた人に対する「元気そうでよかった」と言うリプに
『元気かどうかなんてその一瞬の切り抜きでわからんやろ』
とか思っちゃうタイプなのだけれども
他人の人生の一部をみて幸せだの不幸だの言うことに対しても
自分の事を不幸だと言うことに対しても
まぁほんとにこの世のすべてのことが
人それぞれ
時と場合だから
なんとも言えないとはいえ
一度考えさせてもらえるワンシーンでしたな。
坂下はとても雨宮さんだった。
今回ここがダブルキャストと知らないまま、というか、チケットを取ろうとしたら土日が完売していてやっべぇとなってもう他もわずかで焦って調べずにチケットをとってしまったのだが
雨宮さんの坂下は、とても雨宮さんで、激ハマりだった。
大迫さん超すきなので見たい気持ちもあるけれど、この役を大迫さんがやったらどうなるのかと想像したら大迫さんの坂下はおそらくとても大迫さんであろうという確信めいたものがあって
大迫さんの坂下を勝手に想像して勝手に笑った。
終演後に物販でパンフレットを買う際に、
雨宮さんに「すごく楽しかったです!」みたいな事をお伝えしたら、
自分の目を見て「ありがとうございます!」と嬉しそうに返してくれて
"イワクラと吉住の番組〜!!!"
(訳: 雨宮さんと初めて話せちゃったー!)
となりました。
風吹に関しては
大人があんなことになるのがあんなにおもしろいとはね。
笑いの原点だ。
「こういう顔が一番危ない」
みたいなことを言われていたけど
失礼ながらめっちゃわかる。
まじで初手でこいつストーカーだろと思った。まじ。
駄々をこねてる姿が可愛すぎて肩震わせて笑った
あんまり関係ないけどこの世の争いの多くは人の話を聞けないことからきているのかもしれないというのは最近よく思う
唐沢と松島はまずそもそも見るからにお似合いだったのが結構大きな要素で
お互い好意を持っていて見るからにお似合いでもう付き合うこと確定演出から
5倍不幸な唐沢ゆえに全然うまくいかないというのがよかったので
ビジュアルや雰囲気含めてお二人ともとてもよかった
唐沢はリアクション的には喜怒哀楽は大きいものの、芯の部分ではさほど人生に高望みしていないこともあってそこまでブレていなかった
自分は不幸ではないと言えるのも唐沢の性格的に納得だった
納得させてくれた演技だった。
松島さんもとてもよかったのでとりあえずXをフォローしておいた。
この物語の大きな鍵を握っていたボタン。
とても一生懸命で、意識も高い。
ように感じるものの結果から見ると意識が低いと言わざるを得ない。
視野は若干せまめで、仕事を成功させるためには誰かのフォローが必要。
作業を1人で任せるのは難しい。
教えても教えてもいつまでも単独では任せられない状態が続く。
そういう人は会社にも普通にいて
悪い人ではないし良いところもある、モチベーションも高い気もするがなんともこの部署のこの仕事では分が悪い。みたいな。
(配属された部(組織)が悪いとも言えるねゆーて、わはは!)
そういう人に対して、どうしたらいいのだろうと悩む人も多いであろう。
疫病神の特性を活かして成果を出したラストを見て
ここで活躍させるには他の人と同じアプローチではなく彼の良いところ悪いところを上手く活かして成功に導く必要が組織としてあるんだろうなと少し思った。
少しだけだ。
教えた事ができない人を教える側の力不足とは俺には言えない。
それは大変なこと。
関係ない話しちゃった。
ボタンは座敷童とは真逆の疫病神で。本来は人を不幸にする仕事。
人を不幸にすることにやりがいを感じるべき存在。
ただ最後にユリの言っていたとおり、彼は本来は疫病神にも関わらずずっと唐沢を幸せにするために一生懸命だった。
演じた朝田くんはこの公演に出るに当たって、
前回ののぶやぼ公演を見た後にその場で主宰の佐藤しんやさんにプロフィールを渡してアナスイの舞台に出たいと言ってきたという話がありましたが(こちら)
ボタンの一生懸命と朝田くん自身の振る舞いが一致して、今回見た後にXの各役者さんの紹介文を見返して感じた。
ユキノシタを演じた佐藤修作さん。
カーテンコールで「客演の方から」と紹介される中に入っていて
"あー客演だった"
と、
アナログスイッチ劇団員と勘違いしてしまうほどもはや馴染んでいる。
最年長はハギだったかと思うけど、
めんどくさいおじさん感が溢れていてとてもよかった
ユキノシタは仲間想いで熱い気持ちも持っていた。
アケビ、リリー、ハギを演じたアナスイの看板俳優たち、トークストックトーキョーの面々は今回も当たり前に素晴らしく、この3人を舞台に置いたらなんかどうにでもなる感が強い。
今回のキャラの中だと特にハギが好きだった。
厳しいっぽい印象になってたかもだけど話し方も全然優しいし、言われている側も愛情をしっかりと感じられるし、視野も広くて、
"楽しく遊ぶのはやることをやっていてこそ"というカッコよさもあった。
藤木陽一の自由帳さん自身がめちゃくちゃ優しいのでその本来の優しさと意識の高さも、このハギと合わさって非常によかった
今回の舞台、いつも以上に役と役者さんの人物像がそのまま当てはまっていて
客演の方はまぁもちろん?そのつもりでキャスティングしてるから合っていて当たり前ではあるのかもだけど、
アナログスイッチの劇団員の方々は藤木さんは藤木さんだし、わたなべさんはわたなべさんだし、雨宮さんは雨宮さんだしetcでみんないつもの感じが出ているのに
いつもどの舞台も成り立つ、どころかめっちゃ良いの
めっちゃバカな感想だけど
なんかすんごい。
ただっちゃんがベッドから出てきて、あわあわしてるのおもろすぎてここも肩震わせて笑ったし
鼻に抜ける声を使った優秀なイキリ新人の役うますぎだし
実は協会のエラい人やねんのドヤ感もうますぎだし。
ただっちゃんの登場シーンは、ロッチの試着コントのような形で、
一生あれやってても一生笑っていられただろうな。
物語の終盤
唐沢の最大のピンチに、禁じ手である直接関与する事をしたアケビ。
これまで何事もうまくいくように、問題が起きないように動いていたアケビが、強い気持ちで行動した。
ボタンに対して、
もっと言い方あるだろうと思われる言い方であえて厳しく真実を伝えた。
ハギではなくアケビが行動したことに意味があった。
あれは咄嗟の判断ではない。
咄嗟の判断だけどずっと考えていた。
アケビはずっと考えてた。
ボタンが家を出ていき、これでボタンが座敷童ではない事が正式に確定。
幸福力をセーブしていた輪っかを静かに外しボタンを追いかけるユリ。
ここからのゆったりとした時間のあとのスピーディな展開はとても気持ちのいい構成だった。
いやー、よかった。
唐沢も松島さんも
座敷童ーずのみんなも。
座敷童の存在のおかげでみんな人並みの幸せがあるという世界観ではあったので
自分にも座敷童はいるのかなぁとか
あんな座敷童たちがいてくれたらいいなぁとか
思ったりもするのだけれども
なんというかそんなことは座敷童に限定せず
唐沢には松島さんがいて
自分にもいろんな関わる人がいて
そのおかげで幸せに生きているので
まぁいつも認識しているものの
ありがとうございもん
(にしむらゆうじ)
エンディング
ボタンが疫病神効果で?スマホのボタンを間違えて通話ボタンを押しちゃったことが結果的には幸福をもたらしていた。
(ボタンとボタンがもう)
その結果、聞こえるはずのなかったリリーの声が届いて繋がった幸福。
リリーもさすが座敷童という名アシスト。
(ふざけていただけとはいえ)
というか松島さんが座敷童の声が聞こえるとなってわちゃわちゃしてる時点で、「ほな電話のときリリーの声聞こえとるやないかい」となってよかったのに全く何も思わなかったぜ
人間っておもしろ
↑のボタンのボタンの押し間違い、ボタンのかけ違いから考えてもこの時点ですでに
ボタンは立派な座敷童だったのかもしれない。
ということでね。
いやぁ、いい舞台でした。
秋本さんきっかけで知ったアナログスイッチという劇団。
コロナ禍はツイキャスなどで絡んだり、最近はイベントで普通にお話したりで距離は近くなったものの
「テレビで見る人たち」のような感覚は消えることなくいつまでも特別な人たちでいてくれる。
劇団公演に限らず、
木幡さん、ただっちゃん、こじまちゃん、きんぐ(平仮名だと焼肉チェーン店感が出るのよ)などが出た客演での舞台を見ても、やっぱりみんな良いし
劇団員のみなさんみんな力があってめちゃめちゃ好きになったのだけれど
その上で、
チケットの扱い欄で迷うことなく
いつも俺に「秋本雄基」という名前を即選択させてくれる存在で居続けている超熟ニキに今回も最大の拍手を送りたいですね
秋本さんは優しい役もサイコ系の役も似合うカメレオンタイプだと勝手に思っている
最近、テレビを見ててもCMが秋本さんだらけでとても嬉しい
パンフレット。
普通はブログを書く前に読むべきなのだがこれから読ませていただく。
書きたい事がまだ漏れている気がしてならないけど、
素晴らしい作品だった!
ありがとう、幸せを運ぶ男たち!
じゃあの
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