『にぶいちの失明』観劇。
文章を書くのが3か月ぶりになりました。
他人の文を自分の悪意に利用するのが当たり前の正義となったこの時代に、わざわざ書いて公開するなんてビビらずにはいられません。
さて。
はじめましての”山田ジャパン”さん。
とてもよかった。
舞台は「高校サッカー」。
DFがクリアするところに頭から飛び込んだそのプレーから。
失明した彼とその家族と、
怪我をさせた選手とその家族と、
チームメイト、友人、学校、教師。
これに関わる人達の物語。
中学2年生から中学卒業までだけだけどサッカー部で過ごし、
今もJリーグをスタジアムに観に行っている自分としても
としても、ではないけど
舞台の中であのプレーが何度も再現されるシーンは、
「ないこと」ではなさすぎて。見るたび痛いし怖かったです。
ここからはネタバレしますので、アーカイブで配信見る方、ネタバレ回避したい方はさようなら。
暑いんだか寒いんだかわからない日がもう少し続きます。体調にはお気を付けください。
詳しくはコットン西村さんのTwitterでも見てください。
どうでもいいけど広島生まれ広島育ちの私としては西村さんがアナウンサー時代によくテレビでニュース読んでるの見てたので芸人さんなの不思議な感じがしますね。
舞台は音楽にのせたTHEスポ魂アニメの形から始まって、
その接触プレーのシーンへ。
そこからは重たい話が続くかと思いましたが、
失明したつなきも、その家族も、このことを前向きに受け取って明るい展開が続きました。
見ているこちらも笑うところは笑いながら、
笑っていいのか複雑な感情も抱えたまま、
明るく振舞う彼らと同じような気持ちで。
この時点でも横田家の全員が本当はいろんな気持ちを抱えながらあえてそうしていることはわかりながらも、誰しもがあえてでもこうできるわけでもないので、横田家の絆や家族としての強さを感じる。
(別にしんみりしてる家族もそれでいいしどっちがどうではないけど、とか当たり前のことをわからない人に見られることを意識して書かないといけない思考が頭に浮かぶ時点でもう炎上回避脳になっていて文章書くことへの抵抗がすごいんですよね)
お母さん役のいとうあさこさんの役者としてのすごさが際立っていて、
重たい話でもたくさん笑わせてくれたし、
それでいて重たい話を軽く扱っているわけでもなく、
真面目に不真面目に重く軽く息子への愛情どぶどぶのなんというかなんだこれは
なんだろう
自分の言いたい感想を「母親だなぁ」という言葉に詰め込んで表そうと思う。
大事なところでの煽りピアノも
「あのコ、ブランドで見るとこあるのよね~」連呼シーンも
ほんと笑いましたね
元々好きだったから期待していったけど、期待以上の生いとうあさこがそこにいたなぁ。
「余り1」
「誰も悪くない。でもみんなが謝っている。」
「そうする。そうしない。二分の一。」
これらの言葉に「ハッ」とするというよりは、
そうなんだよねというか、いろいろと思うことがある言葉たちでした。
この舞台を観ながら自分が抱えていた気持ちを細かく書くと舞台を全部書いてしまいそうなのでやめておこうとは思うんですが
話が進んでいく中で、
「いやこれは勇輝悪くないでしょう」とか「わかるけどそこでお母さんに『誰も悪くないんです』って言うのはちょっとさ…』とか
いろいろ思うことが多々あったんだけど
ちゃんとその先で「勇輝悪くないよ」って言ってくれるし、
先生たちがお母さんの気持ちにも理解を示すシーンもある。
森山、あのプレーについては謝る必要ないけど失明させて彼の未来を奪ったことは悪くない中でも謝る態度を表に出せた方が相手以上に自分にとって良いのでは、と思ってたら、ちゃんとそういうシーンがある。
そういうというか、このシーンは↑以上に抜群に良かったですけども。
なんていうか、
舞台中にぷよぷよみたいにいろいろ思うことが落ちてきてそれが積み重なっていくんだけど、
その思うことたちがちゃんと繋がって「そうだよね」と浄化され消えていく。
最後の森山とつなきと勇輝のシーンを終えて、
「うんうんうんうん」と心の中で大きくうなずき続けたあとに
カーテンコール(前かな)でダリアスがこの舞台の総括していく場面で
うん。
全消しでしたわ。
「あ、あ、、そ、そう!!」
っていろいろ言いたい気持ちがぐぅぐぅと音を立てて、
ぐぅの音を全部吸いこんでいく、そんな舞台。(どんな舞台)
すべてを説明はしすぎず、でも伝えたいことは言葉に残す。
絶妙にちょうどいい言葉の使い方をしてくれた舞台だったなぁと思います。
キャプテンの勇輝が森山(たち)にブチ切れたシーンは、
いろいろと思うことはあれど、土橋くんだったかな。
片方の目を失明したつなきの状況を生で見ていないし関わりが浅いとはいえ、つなきを尊敬して交流があり大事に思うキャプテンの前で、そして失明させるプレーをした森山に対して「(荒木にチャンスを与えて)ナイスアシストだったよな」という言葉はあまりにも酷く、勇輝に対してもつなきに向けても、なにより森山に向かってそれを言えた彼は、つなきの人生を変えたのに明るく振舞っていた森山なんて比べ物にならないサイコパスだと思うんだけど
高校生が、いや、まぁ大人でも。
言葉を間違えたり集団にいる時のノリを間違えたり、許されない事を言ってしまうこともまぁあるからわかるんだけどね。しっかり勇輝と森山に、この物語のラストに向けてスイッチ入れてくれましたよね。
これだけいて全員片思いなのも、音楽の先生も、ツンデレ先生も、全部出ちゃうダリアスも、
舞台の中でたくさん笑わせてくれたけど、
お母さんが最後に言わせてと言って叫んだ「なんでこんなことが」「ざんねん!ざんねん!ざんねん…!」というシーンは
ぶわっと涙が溢れ出てきた。
「残念」という言葉の全方向への精一杯の愛ある表現がまたすごい。
「クソ!」とかじゃなく今回のことに対する表現でいちばん柔らかい言葉を選んだお母さん、本当にすごかったですね。
そしてラストの森山くんが震えながら、つなきに伝えるシーンも。
自分もつなきと同じ意見で、ただ申し訳ないと謝ってきたらそれは違うぞと思っていたので
森山くんの一つ一つの言葉を聞いて
「そう」
「そう」
「そうだね」
「そうだそうだ」
「…」
「森山ぁぁぁぁ泣泣泣」
「つなきぃぃぃ泣」
「勇輝ぃぃぃぃ泣」
はい。
ありがとうございましたー。
誰も悪くなくたって一生謝ることもできずに、
悪いことをしたと思いながら生きていく人がほとんどなこの世界で、
謝る機会が作れたことも、
謝ってもらえる機会があることも、
当たり前ではないし、とてもよかった。
最後にちょっと関係あるようなないような話を。
作演出の山田さんはガンバユースにもいたサッカーガチ勢なのは知っていましたが、
今回の『にぶいちの失明』は実際に山田さんが経験した物語に近いのだとか。
パンフレットを見て、ほーそうでしたかと。
ちなみにこの山田ジャパンさんを知ったのは今やっているドラマの「便利店☆英雄達」、あ、えっと、「コンビニ☆ヒーローズ」だ。そうそう。それを見ていて、というか、えーっと「コンビニ☆ヒーローズ」を知ったのがまず脚本協力で入っている高尾苑子さんのファンだからなわけなんですが
まぁそんな感じで今回『にぶいちの失明』にたどり着いたのです。
そこから山田さんをいろいろ見ていくと
サンミュージックでお笑いをやっていたり、
その高尾苑子さんもいたex.Chubbinessの中﨑さんが出てた「快感インストール」の監督でもあったり、
よく見ている飛石連休のペイジさんのYoutubeに出ていたりもして
自分がサンフレッチェのゴリよりのゴリのサポーターなのでガンバユースというだけでも、おっ、となっていましたが、サンミュージックのアレコレとChubbinessのアレコレと今振り返ると色々と自分の生きてきたものたちの中でも繋がりとまでは言わないまでも触れかけていたのだなと。
ザ森東関連の番組も沢山見てるから渡辺さんやヤマネさんも含めて、山田さんを追っているとアレもコレもそうだったんだみたいなものがあって、今回をきっかけにたくさんの「へ~」が。
そして、コンビニ☆ヒーローズで大活躍中の横内さんも。
生で見れて嬉しかったんですけど、これまた調べるとX-QUESTの舞台にたくさん出ていた。
高田の淳さん大好きでX-QUESTさんも観てたから(横内さんは今回が初めてでしたが)、わーそうだったんですねーと。
カテコの挨拶の相槌も笑ったなぁ(笑)
今回、新宿角座の跡地である新宿シアタートップスでの上演でした。
角座は高尾苑子さんがまだ今のように脚本家として活動していない頃に、
月に1度、高尾苑子脚本の舞台をやっていた場所で。
客席に着いたときに、毎月観に行っていたあの景色があって、
楽しかったなーと懐かしく思いました。
エモーショナルにもなるよ、と。
(お兄ちゃんの言葉を借りて)
とにもかくにも山田さん、山田ジャパンさんが自分の中の人生関わっていい人リストの上の方に来る作品でした。
観に行ってよかった!
じゃあの
0コメント