『人間賛歌(女)』観劇。

sleepwalk
河西裕介短編作品集
人間賛歌【女】チームを観劇。





3つの短編集。

1.ブルーベリー
2.ベンジー
3.モリー

を上演。










「ブルーベリー」に土橋銘菓が出演。


ひとつ前のブログはこいつの伏線かとなりますけど。
(伏線というか影響)





土橋が出てたからとかそういうの抜きに、

個人的には「ブルーベリー」のお話が1番好きだったな。





細かく感想言いたいけど、

中でもピックアップしてのところを。




ではネタバレするので皆さんさようなら。

逆から行きます。モリーから。

















・「モリー」


男と女、人と人。

愛情、友情、欲望。

いろんな人間模様が描かれている。



中でもオダという男が出てくるわけだが、


空気が読めなかったり、勘違いを繰り返したり、

イケてない男ではあるが、彼は「いいやつ」だった。


いわゆる「優しくて本当に良い人だね。」というものではなく、

「なんだこいつ。」という要素を持ち合わせたツンデレともまるで異なる『ハイブリッド型いいやつ』。



きちんと愛情を見せる彼の振る舞いは、

行動単位で切り取れば「嫌なやつ」でもおかしくないのに、

おそらくほとんどの人間が彼と対峙した印象は「いいやつ」だろう。



真面目に話している最中でも

「俺っていいやつじゃない?だからさ…」

とかすんなり言ってきそうなんだけど、


彼の言うソレは、ムカつくけど、どこか愛せてしまう。




パワプロで「いいやつ」が初期評価でついていたとき、

俺はその選手を『オダ』と名付けるだろう。





他にも書きたいけど、一旦ここまでで。



「愛って大切。」


この気持ち悪い一言で締めくくりたい。








・「ベンジー」


おもしろかったです。

好きでした、このお話。



3作品とも、全部少しハードめな話で。

これも例外ではないけど、2人の掛け合いはどこか笑えるところも、ほっこりするところもあって。

3つの中で、間がこの作品というのがとても良いというか。




カッコいいバンドマンなサチコ(名前合ってる確率40%)のビジュアルも、過去からタイムスリップしてきたかのようなセツコ(名前合ってる確率60%)のビジュアルも見事。



サチコを「バンドマンなビジュアル」と言ったけど、

とても常識があって話のできる優しいごく普通の女性だったのがまた自然な会話劇になっていた良いところ。





偶然居合わせた二人が、

偶然を繰り返して、

繰り返して、


出た結論は「親子」。




目の前の女性はお母さんのドッペルゲンガー?

この場合は時代をさかのぼっているから、タイムリープか?

もしくはオバケ!?



細かい疑問は残るものの、

このタイミング、お母さんの伝えたいメッセージ、

すべての条件が一致した先に出た




『お母さんなんでしょ!』


からの


『違います。』


という壮大な裏切り。


すべてシンプルに、ただの偶然。





Takuya(名前合ってる確率30%)の「ドッペルゲンガー発言」も後押しして、

見ている側も大きく裏切られたわけですけど、



それでも


二人が会話していた時間はとても価値のある時間で、

二人の考え方に大きく影響していて、



他人だから話せることもあるし、

誰かに話せたから整理できた気持ちもあるし、

相手と話ながら、自分と話をしていて



笑いと共にとても温かくて、

とても良い作品だったなぁと思います。










・「ブルーベリー」


幼き頃からの友人4人が集まったどこにでもありそうな宅飲み。





細かくストーリー書こうとするだけでなんか、感情が溢れてしまうんですよね。



ミドリのような人が身近にいるかというとノーで、

なににこれほど自分が感情移入しているんだろうと思うんだけど。


不思議だ。




観た人にしかわからないけど、

ラストのデクとミドリのやりとりは


辛さや悲しみや愛情やいろんな気持ちが一気に襲ってくるわけですけど。



それまでがごく普通の、あまりにも普通過ぎる身内ノリで、一体これ何がおもしろいのかわからないような、どこにでもある飲み会で。



ミドリが歌を聴いて泣きだした時には、観ている側も眼帯の意味もある程度察してくるころで。


それと同時に、「あぁ最後にデクがブルーベリーのガムパッチン出すんだ」ってみんなわかったころなんだけど。



なんだけど。



でも、ラストのそれは、この時思った「わかった」ブルーベリーと同じだったんだろうか。と問うと、


わかっていたならなんで、俺はあのラストシーンであんなに感情が揺さぶられて、涙を浮かべたのか。




超えてきたんです。

2人が。




ラストシーン、ミドリの辛かったこれまでが、一気に自分の脳みそと心臓に襲いかかって。

自分の中でミドリのいろんな過去を思い描く。



でもそれ以上に。

そのあとに。




ミドリに対して、

戻ってく場所。

変わらない場所があるってことを。


伝えるデクの優しさ、愛情が。
明るく振る舞えば振る舞うほどに。


思い出すだけでもまた泣けて。


その感情を表すミドリの、土橋銘菓のぐちゃぐちゃの泣き顔が。今なお本当に目に焼き付いて残る。



生きて欲しいなぁ。

戻ってきて欲しいなぁ。
好きだなぁ。

さっきまでミドリに感情移入していたのに、ある瞬間ではデクに感情移入して。それを繰り返して。




正面の席だとかなりの時間ミドリは後ろ向いてるので眼帯に気付くのもだいぶ後で、これ失敗したやつかなぁと思ったけど、ラストのあの表情見れたのよかった。



あの瞬間、ミドリの泣き顔を見ていたあのとき、俺がミドリになってたんかと思うくらい、引き込まれたのが。


デクは戻って来るって心から信じているのに、

もう会えないとも思っていて、

その感覚がなんか、気持ちの割合?が、


50%×50%の均衡ではなくて、

100%×0%、0%×100%をずっと繰り返してるというか。



表現できないけど、グッチャグチャのあの空間に

愛が溢れてて、1作品目から泣いちゃうやつでした。



短編集で背景を事細かに説明されたわけではないあの短い時間に、

あの空間をちゃんと感じさせてくれるのすごいなって。





人はやり直せるし、変われる。
それは間違いないけど。

でも、事実って変わらなくて。
なかったことになんてならなくて。

うん。

すごく辛くて優しくて悲しくて愛で溢れてて。

気持ちがとても揺れた舞台でした。




観終わったばかりだったのもあって、

ロビーにいた土橋が愛おしかった(ちゃんと話したのほぼ初めて人←)


(函波さんは許可もらってないのでBFF隠し←)






3作品に通じて「いろいろあるよなぁ」でしたが、

人間賛歌というタイトル、とてもいいですね。



他の作品も観たかったですが。

また機会を作れたときには是非。です。




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